結納と顔合わせ食事会とは?費用・準備・服装・流れの違いを解説

結納と顔合わせ食事会の違い©natu – shutterstock.com

結婚式招待状によく添えられている一文「婚約が相整い」を目にしたことがあるでしょう。婚約とは結婚の約束ですが、双方の両親と本人二人がお互いに紹介し、正式に婚約したことを確認する儀式として「結納」があり、親睦を深めるために「顔合わせ食事会」があります。費用・準備・服装その他の面での違いとは。

「結納」と「顔合わせ食事会」それぞれの内容と意味

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「結納」と「顔合わせ食事会」のどちらにも共通して言えることは、婚約の約束を交わした二人の新郎側・新婦側の家族が集まり、全員で婚約を確認し、両家の親睦を深めるためのものです。
しかし「結納」と「顔合わせ」では、婚約を確認し両家の絆を深めるという意味は一緒でも、婚約を家のつながりを「儀式」とするか、両家が親睦交流を深める「機会の場」とするか、そもそものコンセプトが大きく違ってくるのです。

結納

フォーマルな「婚約を両家立会いのもとで家のつながりを結ぶ伝統的な儀式」
結納は、婚約の伝統的な儀式としての準備・作法手順の確認・儀式としての両家の格を釣り合わせる…など、さまざまな段取りと両家のすり合わせがあります。準備に時間をかけたぶん、互いの家についてよく知ることとなり、両家の結びつきは深くなります。

顔合わせ食事会

カジュアルな「両家の親睦を深めるために設ける食事の席」
両家が親睦を深めるために、婚約を決めた二人とお互いの両親(場合によっては親族)も集まり、ともに食事をし、語り合う機会の場です。
特にこれ、といった正式な手順や決まりごとはなく、準備もお互いの両親のスケジュールのすり合わせが決まれば、さほど手間はかかりません。

結納と顔合わせの違い1:費用と結納品・結納金ありなしの違い

もっとも大きな違いです。
結納は儀式として整えるため「費用がかかる」ことと、新郎側の家族に「結納品・結納金の負担」がかかります。ちなみに、現在は仲人を立てて行う正式の結納はほとんど行われておらず、両家が同日に一カ所に顔を合わせる略式結納が主になっているため、今後もそちらのスタイルで説明していきます。
顔合わせは食事をする場の提供が主な費用で「費用はさほどかからない(個人差あり)」といえます。
以下で、結納と顔合わせ食事会にかかる全国の平均費用の相場をまとめてみました。

データ参照:リクルート ブライダル総研 結婚トレンド調査2017

結納にかかる費用

二人に共通してかかる費用
食事・会場費・・・18.3万円
 
新郎家側にかかる費用
結納金・・・91.2万円
結納品・・・14.1万円
 
新婦家側にかかる費用
結納返し(現金の場合)・・・38.5万円
結納返し(品物の場合)・・・20.6万円

顔合わせ食事会にかかる費用

会場・食事費用
食事・会場費・・・6.2万円
 
記念品贈呈費用
婚約指輪・・・35.4万円
婚約返礼品・・・14.6万円

結納と顔合わせの違い2:準備の違い

結納と顔合わせ食事会の大きな違いは、準備の複雑さと両家で話し合うことの多さ。結納の儀式の作法や順番にはすべて意味があり、地域差や家によって大きく違うため、どの手順と作法で統一するかの話し合い・すり合わせが必要です。その過程で両家がお互いの家について理解を深めるという側面があります。
一方食事会の準備は、基本すべて自由に決めることができるため、両家のスケジュール調整や参加者の確認といった部分が主で、手がかかるようなことはあまりありません。その分、お互いの親の食の好みをリサーチしたり、ちょっと招待状や進行表を作成して当日を楽しみにしてもらったり…と心配りをする余裕も生まれます。当日の食事費用をだれがどのうに支払うかを先に決めておこないと当日もめるケースがあるので、確認しましょう。

結納の準備

(1)日時、場所、仲人を立てるかどうかを両家で調整する
(2)地域によっての両家のしきたり・格式を確認し、違う場合はどちらの作法と格式で行うか決める
(3)結納品・受書・家族書の用意と、結納金の金額を決める
(4)婚約記念品(指輪などの交換または目録)、結納返しの返し方(お金か品物)を決める

顔合わせ食事会の準備

(1)日時、場所を両家両親とすり合わせ調整。参加者(祖父母・兄弟)の確認
(2)当日会食費の費用分担をどうするか両家と二人で確認
(3)婚約記念品の交換をするかしないか決める
(4)アレルギーや好き嫌いの確認、当日のコースを決定

結納と顔合わせの違い3:行う場所の違い

料亭・ホテル・レストラン・新婦の実家、という選択肢があります。結納の場所でいまだに新婦の実家が選択肢に入るのは、結納の作法によるものです。

結納の場所

一昔前の結納は、新郎家が新婦宅に訪問する形が多かったのですが、現在では結納の場を整えてくれるサービスやプランが充実している「料亭」「ホテル」が多く選ばれます。こちらは結納を行う際の格式やサービスの充実度によってえらばれるため、格式高く和の趣がある料亭か、サービスが充実しているホテルの選択が多くなっています。

顔合わせ食事会の場所

両親の和食か洋食かの好みで会場を選ぶため、和食を選ぶことが多い傾向です。また、気兼ねなくやりたいということで、レストランを選ぶケースや、結婚式場の下見を兼ねての顔合わせ食事会にする、という選び方があります。また、両家が集まりやすい中間点で場所を選ぶことも多く、選択方法はそれぞれの家庭によってさまざまです。

結納と顔合わせの違い4:服装の違い

結納はフォーマルな儀式のため、服装はセミフォーマル以上とドレスコードが決まっています。また、「両家の格をそろえる」ことが儀式の目的でもあるため、服装についても両家で打ち合わせをします。
一方で、食事会はこれといった決まりはありませんが、食事会として選んだ場所の格式や雰囲気に合わせる・両家両親がちぐはぐにならないように、足並みをそろえるようお互いの家庭で話し合う、といった配慮が必要です。

結納の服装

結納の服装はセミフォーマル以上と決まっているため、和装の正装または洋装のセミフォーマルなスーツ、ワンピースが多いようです。両家で和装と洋装の違いがないように合わせる必要があります。独身最後だからと、振袖を選ぶ女性も多いようです。
男性:紋付き袴・ブラックスーツ
女性:訪問着・振袖・ワンピース

顔合わせ食事会の服装

基本は自由ですが、会場として選んだ場所のマナーと雰囲気に沿った服装を選びましょう。
両家の両親が違いすぎることがないよう、事前にどんなものを着ていくのか、それぞれの両親に確認とすり合わせをすることが大切です。

結納と顔合わせの違い5:出席者の違い

結納は基本両親と新郎新婦二人の計6人でのスタイルが主流ですが、略式結納が多い現在は、兄弟姉妹が出席するケースもあるようです。その際、土地柄や流派によって、両家で人数を合わせる場合と合わせない場合があります。
顔合わせ食事会は両家の親睦を深める場なので、特にきまりはあありません。家族の紹介として、兄弟姉妹は同席することも多いようです。

結納の出席者

基本は新郎新婦、両家両親の計6名ですが、地域によっては兄弟・親族の立会がある場合も。その際、どちらの格としきたりに合わせて結納を進めるのか、話し合いが必要になります。また、参列者が増える場合は、相手家族に必ず事前に報告する必要があります。兄弟の参加は結納後の食事会から、というケースもあるようです。

顔合わせ食事会の出席者

両家家族の親睦会なので、特に家族のどこまで参加、という決まりはありません。結納と同じく6人で行うことが多いのですが、その日都合がつく兄弟姉妹が同席するケースも多いようです。

結納と顔合わせの違い6:進行役の違い

結納は儀式のため、作法を順番通りに進めていく進行役が必要です。
顔合わせ食事会の場合は特に決まった作法はないため、進行役は必要ありませんが、会話が和やかに進むように簡単な紹介や挨拶を交わす場があると場が締まります。

結納の進行役

仲人を立てている場合は仲人が進行役を務めますが、現在では仲人を立てずに行うことがほとんどのため、その場合は代わりに新郎側の父親が務める形です。現在では、ホテルや料亭に結納プランを申し込んだ際に、担当プランナーが司会進行を代行してくれるサービスがある場合もあります。

顔合わせ食事会の進行役

和やかな歓談中心のため、特に特別なことは必要ないのですが、食事会の主催が新郎新婦なのか、両親なのかで、進行する人を決めるのが一般的です。食事会の間には両家の紹介や記念品贈呈などのプログラムがあれば、進行役はあったほうがいいでしょう。
カジュアルでアットホームな食事会では、新郎が進行役を務めることが多いようです。

結納と顔合わせ食事会の違いのまとめ

結納と顔合わせ食事会は、フォーマルな「婚約を両家立会いのもとで家のつながりを結ぶ伝統的な儀式」、カジュアルな「両家の親睦を深めるために設ける食事の席」という違いがあります。それぞれに意味合いと良さがあり、どちらを選ぶのかは本人と両親で話し合う必要があります。